車を選ぶ上で重要な指標となるのが『燃費』ですね。
カタログを見て、どの車種が燃費がいいのか… どなたでも意識したことがあるはず。
でも、実際に車に乗ってみてもカタログ燃費との差が大きく、後悔することもあります。
そこでこの記事では、カタログ燃費だけでなく実燃費にも焦点を当てて、各社比較したいと思います。
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カタログ燃費はスペーシアベース(FF, CVT)、実燃費はN-VAN(FF, 6MT)がベスト
燃費の比較は、OEM車両を除く以下の5車種で比較します。
- ダイハツ ハイゼットカーゴ
- ダイハツ アトレー
- スズキ エブリイ
- スズキ スペーシアベース
- ホンダ N-VAN
それぞれの車種について、NA・ターボ、トランスミッション、駆動方式の駆動系にわけて、どのタイプが燃費が良いか、比較しています。
結論としては、カタログ燃費・実燃費ともスズキ スペーシアベースが最も良い結果となりました。
ここからは、
- カタログ燃費
- 実燃費
- カタログ燃費に対する実燃費の達成率(車種別)
の3種類の指標で、詳しく結果を見ていきましょう。
カタログ燃費の比較
カタログ燃費のベスト5は以下の通りです。
- スペーシアベース(NA, CVT, FF)
:21.2km/L - ハイゼットカーゴ(NA, CVT, FR)
:20.5km/L - ハイゼットカーゴ(NA, CVT, 4WD)
:20.3km/L - スペーシアベース(NA, CVT, 4WD)
:19.9km/L - N-VAN(NA, 6MT, FF)
:19.8km/L
スペーシアベースとハイゼットカーゴのCVTモデルが上位を占めています。次いでN-VANの6MTモデルが続きます。
効率のいい回転数でエンジンを回せるCVTモデルが良い燃費を出せることは自然な結果と言えます。
実燃費の比較
では、実燃費の方はどうでしょうか?
ベスト5は次の通りとなります。()内はカタログ燃費に対する実燃費の達成率です。
- N-VAN(NA, 6MT, FF)
:20.83km/L(105.2%) - スペーシアベース(NA, CVT, FF)
:20.2km/L(95.3%) - N-VAN(NA, 6MT, 4WD)
:17.39km/L(96.6%) - スペーシアベース(NA, CVT, 4WD)
:16.67km/L(83.8%) - ハイゼットカーゴ(NA, CVT, 4WD)
:16.55km/L(81.5%)
こちらはN-VANの6MTモデルとスペーシアベースが上位に並びました。
特に1位のN-VAN 6MTモデルについてはカタログ燃費よりもいい結果となっており、丁寧な運転をすれば燃費改善にも直結することが伺えます。
5位にはハイゼットカーゴが入ってきましたが、4WDモデルがFRよりも燃費が良い結果。不思議…
【車種別】実燃費のカタログ燃費達成率
最後に、各車種別に、カタログ燃費に対する実燃費の達成率を比較してみました。
結果は次の通りです。
- スズキ エブリイ:97.3%
- スズキ スペーシアベース:89.5%
- ダイハツ アトレー:88.5%
- ホンダ N-VAN:87.8%
- ダイハツ ハイゼットカーゴ:81.1%
1位はスズキ エブリイで、平均約97%と、ほぼカタログ燃費通りの数値を達成していました。どのモデルでも安定して、このような結果となっています。
一方で、ダイハツ ハイゼットカーゴについては平均で8割程度と数値が悪く、燃費が良く示されているカタログ燃費通りの数値を受け取っていると、失敗するかもしれません。
軽バンと言えばまず最小に思い浮かぶのがハイゼットカーゴとエブリイですが、カタログ燃費はハイゼットカーゴの方が優れています。
しかし、実燃費に関しては平均するとエブリイの方がよく、この2車種で比較検討する際には注意が必要です。
各モデルのカタログ燃費・実燃費
ここからは、各車のグレード別に、カタログ燃費、実燃費を比較していきましょう。
カタログ燃費については、WLTCモードとJC08モードがあります。WLTCモードのほうが、より実態に近く数値は悪く、実燃費に近くなります。
- WLTCモード
-
市街地、郊外、高速道路の各走行モードを平均的な使用時間 配分で構成した国際標準の走行モード。現在、日本でもこのモードが採用されています。
- JC08モード
-
JC08モードは過去にあった10・15モードからより実際の使用状況に近づけるために、細かい速度変化で運転するとともに、エンジンが暖まった状態だけでなく、冷えた状態からスタートする測定方法です。日本独自規格となっています。
ダイハツ ハイゼットカーゴ
ハイゼットカーゴは、初代が登場したのは1961年。現在は2021年に発売された11代目が現行モデルとして販売されています。11代目モデルはダイハツの商用車として初めて「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」思想に基づき開発され、「良品廉価」「最小単位を極める」「先進技術をみんなのものに」という3つの価値に重きを置かれています。
ハイゼットカーゴは、グレードによって以下のような駆動系の違いがあります。
- エンジン:NAとターボの2種類
- トランスミッション:5MTとCVTの2種類(ターボはCVTのみ)
- 駆動方式:2WD(FR)と4WDの2種類
それぞれの組み合わせでの燃費をまとめたものが次の表です。
グレード | クルーズターボ以外 | クルーズターボ | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
エンジン | 構成 | KF型 直列3気筒 | |||||
吸気方式 | NA | ターボ | |||||
駆動方式 | 2WD(FR) | 4WD | 2WD(FR) | 4WD | |||
トランスミッション | 5MT | CVT | 5MT | CVT | CVT | ||
燃費 | WLTCモード | 18.0 | 20.5 | 17.9 | 20.3 | 14.7 | 14.7 |
JC08モード | 15.0 | 15.6 | 15.0 | 15.6 | 19.7 | 19.0 | |
実燃費 | No Data | 12.83 | 13.25 | 16.55 | 12.9 | 14.65 | |
実燃費達成率 | No Data | 62.6% | 74.0% | 81.5% | 87.8% | 99.7% |
基本的にCVTの方が燃費に優れています。また、普通は伝達ロスが生じ、重量も重くなる4WDの方が燃費がいいという、ちょっと不思議な結果です。
また、カタログ燃費に対する実燃費が低めなのが気になりますね。
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ダイハツ アトレー
アトレーは、ハイゼットカーゴと同一構造を持つ上級グレードです。2021年に現在の7代目モデルとなっていますが、先代は乗用グレードのワゴンタイプでした。
現行の7代目モデルはハイゼットカーゴ同様4ナンバーの商用車扱いです。ただし、ハイゼットカーゴよりもよりも上質な造りとなっています。
駆動系もアトレーはターボ・CVTモデルのみとなっています。
アトレーはグレードによって以下のような駆動系の違いがあります。
- エンジン:ターボのみ
- トランスミッション:CVTのみ
- 駆動方式:2WD(FR)と4WDの2種類
各グレードの燃費をまとめたものが次の表です。
グレード | 全グレード共通 | ||
---|---|---|---|
エンジン | 構成 | KF型 直列3気筒 | |
吸気方式 | ターボ | ||
駆動方式 | 2WD(FR) | 4WD | |
トランスミッション | CVT | ||
燃費 | WLTCモード | 14.7 | 14.7 |
JC08モード | 19.7 | 19 | |
実燃費 | 12.55 | 13.48 | |
実燃費達成率 | 85.4% | 91.7% |
燃費性能は、ハイゼットカーゴのターボモデル(クルーズターボ)と同等となっています。ただこちらは4WDモデルとなると車両重量が1tを超える、かなり重たい車となっています。
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スズキ エブリイ
エブリイは、ダイハツ ハイゼットカーゴに並んで日本の軽バンの草分け的な存在として人気です。1964年にキャリイ版として登場し、その後エブリイの名前でブランドを確立しました。
現行型はキャリイ版から数えて12代目となり、2015年に登場。その後細かな更新しながら販売が続けられています。
現行エブリイは、グレードによって以下のような駆動系の違いがあります。
- エンジン:NAのみ
- トランスミッション:5MT・CVT・5AGSの3種類
- 駆動方式:2WD(FF)と4WDの2種類
それぞれの組み合わせでの燃費をまとめたものが次の表です。
グレード | 全グレード共通 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
エンジン | 型式・構成 | R06A型 直列3気筒 | |||||
吸気方式 | NA | ||||||
駆動方式 | 2WD(FR) | 4WD | |||||
トランスミッション | 5MT | 5AGS | 4AT | 5MT | 5AGS | 4AT | |
燃費 | WLTCモード | 17.2 | 16.4 | 14.6 | 16.9 | 16.4 | 14.6 |
JC08モード | 20.5 | 20.5 | 19.8 | 20.0 | 20.2 | 19.2 | |
実燃費 | 16.32 | 15.5 | 14.01 | 16.1 | 15.44 | 15.92 | |
実燃費達成率 | 94.9% | 94.5% | 96.0% | 95.3% | 94.1% | 109.0% |
エブリイは5MTの燃費がいいですね。また、カタログ燃費は今回紹介する4車種の中で一番悪い数値です。しかし実燃費がよく、平均すると最大のライバルであるハイゼットカーゴよりもむしろ高い燃費となっています。
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ホンダ N-VAN
N-VANは、2018年にN-BOXをベースに派生した軽バンです。
助手席側がピラーレス構造になっているため、全開にすると1,580mmというワイドな開口幅を持つのが特徴。荷物を積み込むのに邪魔なピラーがなく、スムーズに作業ができます。
また、ホンダ バモス(〜2018)といった商用軽バンは、荷室を広くとるためにエンジンが前席の下にありました。
しかし、N-VANのエンジンは室外にあるため、従来の商用車に比べて、室内が静かなことが特徴です。
N-VANの駆動系の組み合わせには次のパターンがあります。
- エンジン:NAとターボの2種類
- トランスミッション:6MTとCVTの2種類(ターボはCVTのみ)
- 駆動方式:2WD(FF)と4WDの2種類
それぞれの組み合わせでの燃費をまとめたものが次の表です。
グレード | +STYLE FUN ターボ 以外 | +STYLE FUN ターボ | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
エンジン | 構成 | S07B 直列3気筒 | |||||
吸気方式 | NA | ターボ | |||||
駆動方式 | 2WD(FF) | 4WD | 2WD(FF) | 4WD | |||
トランスミッション | 6MT | CVT | 6MT | CVT | CVT | ||
燃費 | WLTCモード | 19.8 | 19.2 | 18.0 | 17.4 | 18.8 | 17.0 |
JC08モード | 18.6 | 23.8 | 17.6 | 21.2 | 23.6 | 21.2 | |
実燃費 | 20.83 | 14.77 | 17.39 | 13.83 | 15.39 | 14.75 | |
実燃費達成率 | 105.2% | 76.9% | 96.6% | 79.5% | 81.9% | 86.8% |
軽バンの中で唯一6MTを採用しているN-VAN。6MTの燃費の良さが目立ちます。
実燃費も今回紹介する車種、グレードの中でも一番です。
MTの運転に抵抗がなく、燃費で選ぶならこれを選びましょう。
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スズキ スペーシアベース
スペーシア ベースは、その名の通りスペーシアが軽バンとなった軽商用車です。
「遊びに仕事に空間自由自在。新しい使い方を実現する軽商用バン」をコンセプトに、商用車の積載性や広い荷室空間、使い勝手のよさと、乗用車のデザインや快適性、運転のしやすさを融合して生まれた新しい車です。
FFの軽商用車ということで、N-VANの後追いとなる車で、コンセプトも似ています。
しかし、スペーシアベースは内部のレイアウトによって使い勝手の幅が広く、より遊びに焦点を当てた車になっていると思います。
スペーシア ベースの駆動系の組み合わせは、他の軽バンと比べるとバリエーションは少なくなっています。
- エンジン:NAのみ
- トランスミッション:CVTのみ
- 駆動方式:2WD(FF)と4WDの2種類
それぞれの組み合わせでの燃費をまとめたものが次の表です。
グレード | 全グレード共通 | ||
---|---|---|---|
エンジン | 構成 | R06A型 直列3気筒 | |
吸気方式 | NA | ||
駆動方式 | 2WD(FF) | 4WD | |
トランスミッション | CVT | ||
燃費 | WLTCモード | 21.2 | 19.9 |
JC08モード | 25.8 | 24.8 | |
実燃費 | 20.2 | 16.67 | |
実燃費達成率 | 95.3% | 83.8% |
ベースとなっているスペーシアと同様、高い燃費を誇るのがこの車。特にFFはN-VAN 6MTモデルに次いで高く、こちらも実燃費を重視する方におすすめのモデルです。
また、見た目がほぼスペーシアなので、商用車っぽくないのも魅力です。
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まとめ|カタログ燃費だけじゃなくて実燃費も比較しよう
今回、軽バン4車種の燃費ランキングを紹介しました。
- 実燃費はN-VAN(FF, 6MT)がベスト。ついでスペーシアベース(FF, CVT)
- スズキのカタログ燃費は実燃費に近い
といった、カタログ燃費だけではわからない実燃費の実態が分かります。
燃費を基準に軽バンを選ぶ際には、カタログ燃費に騙されず、実燃費にも注意して自分に向いている車種を選びましょう。
▼ 軽バンを徹底比較するランキング記事
よくある質問
燃費最強の軽バンは?
実燃費最強の軽バンは「N-VAN 6MT 2WD」が20.8km/LとNo.1です。
次いで「スペーシアベース CVT 2WD」が20.2km/Lであり、20km/Lを超えているのはこの2車種です。
荷物が一番載せられる軽バンは?
「N-VAN」が最も多くの荷物を載せられます。助手席を倒した状態となりますが、380×310×280mmサイズの段ボールで71個載せられます。スズキエブリイは70個、ダイハツハイゼットカーゴが68個とほぼ互角です。
軽バンは何キロまで載せられる?
- ダイハツ ハイゼットカーゴ・アトレー:350kg
- スズキ エブリイ:350kg
- ホンダ N-VAN:350kg
- スズキ スペーシアベース:250kg